久しぶりにオゾン発生器を動かしてみた

新型コロナウィルスの拡大が止まりませんね。一昨年前に奈良県立医科大学とMBTコンソーシアムの研究グループがオゾンによる新型コロナウィルスの不活化効果を確認したことが発表[1]され,オゾンの殺菌効果が改めて注目されています。低濃度のオゾンは空気清浄機にも利用されており,私の研究室では圧電素子を用いた小型オゾン発生器の開発を行ってきました。低濃度のオゾンガスが新型コロナウィルスの除染に効果があるとの報告[2]もあるので,ちょっと前になりますが,久しぶりにオゾン発生器を引っ張り出して研究室(私の部屋)内で動かしてみました。

圧電トランス型オゾン発生器(右側),真ん中は左のエアポンプを駆動するための直流電源

こちら(写真一番右の装置)がそのオゾン発生器です。10年以上前につくったもので久しぶりに電源入れましたが,ちゃんと動いたのでちょっと感動しました。内部に圧電トランスという素子が入っていて,素子に交流電圧を加えると圧電効果により機械振動が発生し,その振動が共振した際に素子表面に高電圧が発生してプラズマが得られます。共振周波数は,表示器下の緑色のLEDの光の強さが最大になるように装置前面右上のつまみを調整することで設定できます。

ところで,人体の安全を考慮したオゾンの許容濃度(日本産業衛生学会提案の作業環境基準)は0.1 ppmですが,このオゾン発生器は酸素を供給してガチで駆動すると,その濃度は最大で数万ppm程度に達してしまいます。そうなるとウィルスだけでなく,私までも不活化されてしまうので,原料ガスには室内空気を使用し,非常に低い駆動電圧で0.1 ppm以下となるように調整しました。

先日,試しに私の研究室で一日中駆動していたところ,オゾンの臭いがしたためか,研究室の学生さんが心配して声をかけてくれました。0.1 ppmよりかなり低い濃度に設定していましたが,それでも臭いに敏感な人は気になるかもしれません。私は学生時代から実験して慣れており,むしろ清々しい気分にさえなるのですが,「大丈夫なんすか?」「倒れたりしないんすか?」と,徳島大学の学生さんは本当に優しいですね。

学生さんに心配(というか臭いで迷惑を)かけてはいけないので,後日研究室用に低濃度オゾンを利用した空気清浄機を購入しましたよ(こちらは殆んどオゾンの臭いはいたしません)。お昼に食べるお弁当の臭いが直ぐに消えるようになりました。

参考URL

[1] 奈良県立医科大学.「プレスリリース (世界初)オゾンによる新型コロナウイルス不活化を確認」.https://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/documents/press_2.pdf(参照 2022/2/25)
[2] 藤田医科大学.「本学の村田貴之教授が人体に安全な低濃度オゾンガスで新型コロナウイルスを不活性化できる事実を世界で初めて発見」.https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv0000007394.html(参照 2022/2/25)

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