プラズマ照射ミストによる新しい殺菌技術の開発
Grリーダー:宮内 優太朗(M1),メンバー:前坂 幸明(B4),肌附 海(B4)
研究概要 近年,新型コロナウィルスの蔓延により,殺菌や除菌の需要が高まっています。今や飲食店やスーパーなどの入口には必ずと言っていいほどエタノールの入ったボトルが設置され,手指の消毒を行うようになっています。エタノールは飲食店やスーパーだけでなく,医療の現場でも必要であり,このままエタノールが消費され続けると,エタノールが不足し,価格の高騰や必要なところに供給されなくなるといったことが懸念されます。そこで人体に利用可能な新しい殺菌剤が要望されています。
プラズマを水に照射すると,活性酸素種(Reactive oxygen species: ROS)や活性窒素種(Reactive nitrogen species: RNS)と呼ばれる反応性の高い化学物質が生成されます。このようなプラズマを照射した溶液をプラズマ活性溶液といい,これを細菌に投与することで,細菌が不活化されることが知られています。本研究室では,溶液にプラズマを照射すると同時にミスト化する技術(プラズマ照射ミスト)を考案しました。この構造では,プラズマ照射されると同時にミスト化された溶液は,短時間で処理対象に到達することから,従来のプラズマ照射溶液では利用が困難であった短寿命の化学活性種を処理対象に作用させることができる可能性があります。本研究室では,このプラズマ照射ミストを大腸菌に直接噴霧したところ,大腸菌を不活化させることに成功しました。そこで現在はプラズマ照射ミストによる大腸菌の殺菌特性を詳細に調べながら,殺菌機構の解明を目指した研究を行っています。最終的には人体にも利用可能な殺菌技術の確立を目指します。
担当教員からのメッセージ この装置を考案した当初,殺菌効果がなかなか得られませんでした。しかし,この研究を担当してくれた当時4年生の女子学生さんが,様々な条件で殺菌実験を行い,殺菌効果が得られる条件を見い出してくれました。何度も何度も失敗して大変だったと思いますが,卒業する最後の最後で殺菌効果を実証し,努力が報われた瞬間に私はすごく感動しました。先輩が最後に残してくれた貴重な研究成果を引継いで,この研究を発展させてくれる学生さんを募集しています!